概要
福島水力発電促進会議は、大きく以下2点の実現に向けて政府、地方公共団体(福島県及び市町村)、関係機関等との間で現在協議を行っています。
1.福島県、市町村、電気事業者等が連携し、福島県内既存ダム等を最大限活用した、公の補助金に依存しない水力発電事業の成立
- 福島県は、「再生可能エネルギー先駆けの地アクションプラン(第2期)」(平成28年3月)において水力発電事業の具体的施策として、福島県管理のダムESCO事業や老朽化した水力発電設備の設備更新等を掲げています。他方、福島県「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」(平成24年3月)では、平成42年度を目標として再生可能エネルギー全体で10,730,000kW、うちその約32%(4,000,000kW)を水力発電が占める計算となっていますが、この発電容量は現状の発電容量からの増加をほぼ見込まない数値となっています。
- 平成27年3月時点での国内再生可能エネルギーの固定価格買取制度の認定事業件数の99.9%、導入件数の90.2%は太陽光発電事業であり、未だ水力発電は再生可能エネルギーとしての認知度はまだまだ低い状態です。
- 福島県内には、阿賀野川水系や阿武隈川水系など各地で水量の豊富な河川が多数流れており、安定した豊富な水力資源が存在します。例えば、環境省「平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」では、福島県には、富山県、新潟県、北海道、岐阜県、群馬県に続き全国第6位の河川部の水力資源の賦存量が確認されています。
都道府県別中小水力発電導入ポテンシャル推計結果(単位:万kW)
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出典 :環境省「平成22年度再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」より作成
福島県における官民の水力発電事業一覧(東京電力及び東北電力系列除く。)
発電所名 | 事業者名 | 発電容量(MW) |
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奥只見発電所(福島県南会津郡檜枝岐村) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 560 |
田子倉発電所(福島県南会津郡只見町) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 400 |
大鳥発電所(福島県南会津郡只見町) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 182 |
滝発電所(福島県大沼郡金山町) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 92 |
只見発電所(福島県南会津郡只見町) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 65 |
大津岐発電所(福島県南会津郡檜枝岐村) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 38 |
黒谷発電所(福島県南会津郡只見町) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 19.6 |
湯野上発電所(福島県南会津郡下郷町) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 7.2 |
奥只見維持流量発電所(福島県南会津郡檜枝岐村) | 電源開発株式会社(東京都中央区) | 2.8 |
柿の沢発電所(福島県いわき市遠野町) | JXエネルギー株式会社(東京都千代田区) | 4.8 |
安積疏水発電所(福島県郡山市逢瀬町) | 安積疏水土地改良区(福島県) | 2.23 |
高柴ダム発電所(福島県いわき市田人町) | 福島県土木部(福島県) | 1.6 |
摺上川ダム管理用発電所(福島県福島市飯坂町) | 国土交通省東北地方整備局(国土交通省) | 1.14 |
新宮川ダム発電所(福島県大沼郡会津美里町) | 会津宮川土地改良区(福島県) | 1.1 |
三春ダム発電所(福島県田村郡三春町) | 国土交通省東北地方整備局(国土交通省) | 1.05 |
猪苗代小水力発電所(福島県会津若松市河東町) | 株式会社中川水力(福島県福島市) | 0.99 |
東山ダム発電所(福島県会津若松市東山町) | 会津若松市(福島県) | 0.7 |
大平沼発電所(福島県喜多方市熱塩加納町) | 会津北部土地改良区(福島県) | 0.57 |
四時ダム発電所(福島県いわき市川部町) | NK福島水力発電株式会社(東京都千代田区) | 0.47 |
花の郷発電所(福島県下郷町) | 三峰川電力株式会社(東京都中央区) | 0.175 |
土湯温泉町東鴉川水力発電所(福島県福島市土湯温泉町) | つちゆ清流エナジー株式会社(福島県福島市) | 0.14 |
大野台小水力発電所(福島県相馬市) | 相馬地方広域水道企業団(福島県相馬市) | 0.0714 |
出典 :Electrical Japan ホームページより作成
- 水力発電に利用されていない既存ダム等の活用や、容量配分や用途変更、既存ダムの嵩上げ等による従属運用を越えた現代のダム管理技術等により水力エネルギーの最大限の活用することを私たちは提案します。なお、本事業では既設ダム等を活用することから、ダム新設等で想起される立ち退き等の環境社会配慮上の負荷を最小限とすることが可能であり、また大前提となる洪水調整機能を損なわずに、小規模の初期投資で大きな事業収益を上げられることが期待されます。
- 公的な補助金に拠らずに福島県内で総計1,020,306kW程度の追加出力が可能となることが見込まれます。今後、本促進会議の関係者である東北電力、東京電力、北陸電力等との間で協議を進めながら、福島県が日本と世界をリードする「再生可能エネルギーの先駆けの地への到達に寄与」できるように、個別地点毎にもっとも理想的な開発手段を検討し提案して参ります。
2.上記の官民連携による水力発電事業を通して得られた収益の、福島県及び市町村の財源への還元
- 経済産業省が推進する固定価格買い取り制度等を基に得られた上記水力発電事業により得られた収益を福島県及び市町村に対して還元すること、またその残りを他の既設ダム等における水力発電事業推進等を目的とする公的な基金に資金還元することなどを提案します。
- 具体的には、福島県及び市町村が実施する森林整備、環境整備、観光施設整備及び雇用操業事業等の財源として充当していただければと考えています。本事業自体による福島県内への建設・操業・保守・事業運営、税収などによる直接的・間接的な雇用・経済波及効果に加え、更なる復興(地域振興)への貢献が可能と考えるためです。
- そのためには、福島県及び市町村の条例等の整備・改正が必要となり、今後その詳細を詰めて参る次第です。